ユーティリティトークンとセキュリティトークンの違いとは?購入前に覚えておこう

ビットコインが7月14日、史上最高額となる12万ドルを突破。このニュースを受けて、円や株式に変わる資産として暗号資産(仮想通貨)に興味を持ち始めた人は多いのではないでしょうか。
一方で、暗号資産について調べると、早いうちに「トークン」という言葉に出会うはず。そして、トークンにも「ユーティリティトークン」と「セキュリティトークン」という種類があることに気がつくでしょう。
初心者であれば「なんだか難しそう」と感じる単語かもしれませんが、暗号資産を購入する場合には、この違いは理解しておくべきです。たとえば、あるトークンを投資目的で買ったつもりが、実はそのトークンはアプリ内の利用にしか使えなかった、というようなミスマッチが起き得るからです。
具体例として、オンライン麻雀のようなゲームをしていると、ランキングやイベントに参加するために「トークンを購入してください」といった案内が出現したりします。このとき、トークンの区別について知らなければ、それがゲーム内通貨を指すのか、それとも何らかの投資的意味合いを持つのか、判断がつかないかもしれません。
したがって本記事では、初心者の方でもイメージしやすいように、それぞれの特徴やユースケースを紹介していきます。
トークンはビットコインとは異なる?
最初に、ビットコインやイーサリアムといった暗号資産と「トークン」は、異なる存在であることを認識しておきましょう。
ビットコインやイーサリアムは、自分自身のブロックチェーンを持つ暗号資産で、コインと呼ばれます。これに対してトークンは、イーサリアムのような既存のブロックチェーンを土台にして発行される資産です。
たとえば、あるアプリゲームの中だけで使えるゲーム専用通貨や、分散型サービスの投票権のようなものはトークンとして発行されることが多いです。
そして、このトークンには役割によって大きく2つのタイプがあります。それが、「ユーティリティトークン」と「セキュリティトークン」です。一方で、どちらも語尾にトークンというワードがつくため混同しがちですが、これらの目的は明確に異なります。そこで、下記でそれぞれの違いを見ていきましょう。
実用的なユーティリティトークン
オープンワールドのWeb3ゲームとして人気の『Pixels(ピクセルズ)』。2024年5月時点での月間ユーザーは、183万アカウントを記録。可愛らしいピクセルアートの世界で農業をしたり、アイテムをクラフトしたりしながら、$PIXELというトークンを稼ぐことができる「Play To Earn」モデルを採用したゲームとして知られています。
そして、$PIXELはゲーム内での道具の購入や、土地のアップグレード、さらには実生活の通貨に交換可能。つまり、“実用的な”価値を持っていると言えるでしょう。
ユーティリティトークンとは、まさに$PIXELのような「実用性」を持つ通貨のことを指します。
投資に関わるセキュリティトークン
一方で、セキュリティトークンはまったく異なる性質を持っています。具体的には、株式や債券のように「資産として保有すること」に重きを置いています。つまり、投資対象になるトークンということです。
たとえば、アメリカに拠点を置くReal Token LLCが運営する「RealT」というプロジェクトでは、不動産をトークン化し、1万円前後の少額から物件のオーナーになることができます。そして、保有しているRealTトークンの量に応じて、その物件の家賃収入が毎週少しずつ配られる仕組みを採用しています。この特徴から、RealTトークンはセキュリティトークンに分類されます。
また、スイスなどの一部の国では、非上場企業の株式をトークンとして発行し、世界中の投資家がそれを買って出資できるような試みも行われています。たとえば2025年5月7日には、スイスのデジタル証券取引所Six Digital Exchangeが、アメリカの大手金融機関シティグループとの連携を発表。未上場企業の株式をトークン化し、Six Digital Exchangeで保管することを報告しました。これもまさに、セキュリティトークンの典型例です。
ただし、セキュリティトークンは証券として扱われるため、法的な規制も厳しくなります。発行者側にはライセンスや開示義務が求められ、購入者側も時には認定投資家であることを証明しなければならないケースもあります。
違いを理解することの重要性
ユーティリティトークンとセキュリティトークンは、どちらも取引所で並んで表示されることがあります。しかし、上記で説明したような違いを理解していなければ、大きな損失を招く恐れもあります。なぜこの違いを理解することが重要なのか?
たとえば、ユーティリティトークンだと思って買ったものが実はセキュリティトークンであり、販売方法が法規制に違反していた場合、取引自体が無効になる可能性もあります。逆に、セキュリティトークンを使って何かのサービスを受けられると思って購入したものの、実際にはそうした用途がなかった、というような失敗も起こり得るのです。
まとめ
ビットコインが代表するような暗号資産とは異なり、トークンは単に「値上がりを期待して買うもの」ではありません。ゲームで使える通貨だったり、あるいは現実の資産にひもづいた投資商品だったりと、それぞれに明確な役割があります。
だからこそ、トークンを購入する前に「これは使うためのものか」「それとも投資するためのものか」という視点を持つようにしましょう。
そして、本記事で解説したユーティリティトークンとセキュリティトークンの違いを理解することで、無駄な出費やトラブルを避け、Web3の世界を安心して楽しみましょう。